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1-33 下川 発見 [同調(シンクロ)Ⅱ-恨みの色-]

車に戻ると、レイが厳しい表情を浮かべていた。
「どうだ?何か感じたか?」
一樹が、レイに訊く。
「いえ・・でも、何か違う・・恨みとも違う・・罪の意識のような・・そんな思念波を感じたわ。・・病院で感じたものとも違う。・・家の中に居た人ね。」
レイが答えた。
「じゃあ、安永秘書は上村議員の自殺には関係していないってこと?」
亜美が一樹に確認するように訊いた。
「いや・・どうだろう。・・。何だか、判らない事ばかりだな!」
一樹はそう言うと、運転席に座り、車を走らせた。
豊城署の手前まで来た時、レイの携帯電話が鳴った。
「病院からだわ。」
そう言ってレイが電話に出ると、ほぼ同時に、亜美の携帯電話もなった。

「下川先生が、病院内で発見されたわ。・・亡くなっていたって・・すぐに病院に戻らなくちゃ・・。」
レイの声が震えている。
亜美への電話も、紀藤署長から、同じ内容だった。
目の前に、パトカーが走っている。見ると、鳥山課長が乗っていた。

病院に着くと、すでに数台のパトカーが停まっていて、病院の玄関には規制線が張られていた。
一樹たちはすぐに病院内に入った。
「亜美、レイさんとここで待機だ。良いな。」
一樹は亜美に告げる。亜美も状況は理解していた。
ロビーで待機していた、若い巡査が、一樹と鳥山課長を発見場所へ案内しながら、状況を報告した。
「発見場所は、地下の薬品庫でした。発見者は、検査技師の遠藤氏。週1回の定期点検のため、薬品庫に入って発見したようです。下川氏は、すでに死亡しており、死後2日程度との事でした。」
「死因は?」
「頸動脈を鋭い刃物で切り裂いてあり、失血死だろうとの事でした。今、司法解剖に回しています。」
「遺書は?」
「ええ・・先日の佐原氏の遺書と全く同じものが、上着のポケットから見つかりました。」
説明を聞いているうちに現場に到着した。
現場には、葉山が待っていた。
「葉山、体は良いのか?」
一樹が声を掛けた。
「ああ・・これくらいなら大丈夫だ。現場はここだ。見るか?」
「ああ。」
薬品庫には、天井まで届く、棚や鍵付きの冷蔵庫などがいくつも据え付けられており、通路が3本あった。その一番奥には、薬品の仕訳や帳票記録のための作業台と椅子が置かれていた。
「発見者の遠藤氏によると、鍵は掛かっていたそうだ。おそらく、内側から施錠したのだろう。下川氏のポケットから鍵が見つかった。下川氏は、奥にある作業台の椅子に座った状態だった。首から大量に出血していて、すでに血は固まっていたところから、死後24時間以上は経っていると判断できた。頸動脈を切ったのは、手術用のメスだろう。床に転がっていた。指紋は下川氏本人のものだけだった。薬品庫にも予備品があるので、それを使ったんだろう。」
「ここに出入りした記録は?」
「いや、ここは、監視カメラはない。唯一、検査室のドア付近にあるんだが、そこには2日前の早朝に、下川医師の姿が映っていた。日付は、出張から戻ってきた翌日の早朝だった。」
「行方不明だと言って探し始める前だな。」
「ああ、その時すでにここで絶命していたと考えられるな。」
「これもやはり、自殺という事か・・。」
「ああ、状況からみるとそう判断できるな。」
薬品庫の外に出ると、鳥山課長が、発見者の遠藤技師から話を聞いているところだった。
「では、薬品庫の鍵は、遠藤さんと下川さんの二人が持っていたんですね。」
鳥山課長が念を押すように訊いた。
「ええ、ここの管理は私の仕事ですが、下川先生は内科部長ですし、検査部長も兼務されていましたから。」
遠藤が答える。
「発見した時は?」
「毎週1回、在庫点検を行うことになっていて、ちょうど、今日がその日でした。鍵は掛かっていましたし、普段通り、鍵を開けて中に入りました。でも、ちょっと異様な匂いがしていました。薬品が漏れたのかと思って奥の方まで点検しながら入ってきて、下川先生を見つけました。」
「そうですか・・。ちなみに、あなたは二日前の朝はどちらに?」
「検査準備で、いつもより早く出勤していましたが・・。」
「では、検査室に?」
「いえ・・検査室に居れば、下川先生の姿を見かけたはずですし、もっと早く発見できた。何度か、検査機器の点検で席を外していましたから、その間に入られたのではないかと思います。」
一樹と葉山は、少し離れた場所で、鳥山課長と遠藤技師の会話を聞いていた。
「不審な感じはないようだな。」
一樹は小さく呟くと、葉山も「ああ」と答えた。
一旦ロビーへ戻ると、亜美はレイとともにロビーの椅子に腰かけていた。
「思念波を感じるわ・・。でも、これまで感じたのとは違う・・・。」
レイが小さく呟く。
「別の人物ということなの?」
亜美がレイに訊く。
「ええ・・今まで3回感じた思念波とも、あの川岸で感じた思念波とも違う・・・。」
「どういう事かしら?」
亜美が呟く。
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